アジアの勝ち組となる都市とは:2019年の見通し

規制当局により様々な施策が実施され、住宅価格の高騰が抑えられることで、来年はアジアの主要都市の一部で希少かつ魅力的で、投資価値の高い居住用物件が出てくるかもしれません。

人口増加や地方からの移住といった人口動向のトレンドが、この10年でアジア地域の都市部の繁栄をもたらし、居住用物件の需要をけん引しているからです。

生活水準の向上が専門職、単純労働を問わず国内外からの労働者の流入を誘因し、結果として各都市がグローバルに繋がるという現象をもたらす。

生活水準の向上が専門職、単純労働を問わず国内外からの労働者の流入を誘因し、結果として香港、シンガポール、東京、シドニーといった各都市がグローバルに繋がるという現象をもたらしています。これらを総じて私たちは「アジアの勝ち組都市(Asia’s winning cities)」と呼んでいます。

これらの都市における住宅価格は2018年第2四半期までの過去5年で平均25%と大幅に上昇、特に香港においては2018年から200%、シドニーでは90%を超える高騰を示しています。

この環境下、低金利もカタリストとなりました。特に中国本土にいる新興の富裕層がこうした居住用物件への投資から新たな資産を築いています。

政府当局は物価上昇がローン延滞や消費の低迷をもたらし、構造的な経済リスクを引き起こしかねないレベルにまでの深刻化を阻止するため対策を講じました。住宅が平均的な中間層に手が届かないものとなり、社会的格差を引き起こす可能性を注視しているのです。

需要を抑制し、価格の上昇を抑えるため、当局は開発会社と消費者に対し非居住用住宅やセカンド・ハウス用の購入の取引に関わる税率を引き上げました。

今年7月、シンガポール政府は住宅購入に課す印紙税を引き上げ、さらに購入物件価格に占める借入金の上限を引き下げられた結果、必要な自己資金額が引き上げられることとなりました。これは以前実施された住宅の購入・売却時の印紙税率引き上げに続き、追加で実施された措置です。

香港政府もまた、住宅購入後12カ月のうち6カ月以上空き家となっている物件に対する空室税の導入、開発業者に対し物件全体の20%を超えて物件完成前の販売を控えるよう求めるなど、住宅市場の過熱を抑制するいくつかの規制策を今年発表しています。

9月には香港の商業銀行が、香港金融管理局による前回の利上げ以来12年ぶりに、住宅ローン金利を引き上げました。香港ドルは米ドルとペッグ制であることから、米連邦準備銀行 が金融政策の引き締めを継続した場合には、さらなる金利の上昇が予想されます。

住宅バブルへの懸念から、オーストラリア健全性規制庁(APRA: Australian Prudential Regulation Authority)も近年銀行の融資基準を厳格化し、個人向けローンに上限を設けたり、利払いのみの融資を制限する等の策を講じた結果、2017年からオーストラリア全土で住宅価格は明らかに下落しました。

アジアの先進国の中で唯一、日本だけは住宅需要を規制する動きが見られず、市場価格は2008年からの10年間で15%と比較的緩やかな上昇に留まっています1。しかしながら日本では物件の供給戸数増加のため低層住宅から高層タワー型住宅へのシフトを促進されており、ユニークな市場と言えるでしょう。

投資機会

金利上昇が見込まれ、さらには当局の各種規制の効果の顕在化が今後予想されることから、住宅価格の上昇は来年は抑えられると予想されます。投資家にとっては、アジア地域における「勝ち組」都市への投資効果を享受できる絶好の機会が提供されるものと考えます。

私達は深刻な市場下落の兆候となりうる、長期的な住宅需要の減速や緩やかな価格の下落は当面ないとみています。むしろ、ここ数年住宅需要は引き続き伸びながらもまだ不足している状態で、現実的には、供給不足から都市部の居住用不動産市場はしばらくタイトな状況が続くと思われます。価格の高騰から多くの成人した子供達も両親と引き続き同居することを余儀なくされ、人口増加は住宅不足にさらなる負荷となりうることが予想されます。

国別では、香港の住宅価格は今年第4四半期から下落し、シンガポールは2019年はほぼ横ばいと予想しています。これらの市場はバリュエーションの一時的な調整の可能性はあるものの、時間をかけずに持ち直すと予想されるため、潜在的には絶好の買い場が期待できるでしょう。

オーストラリアでは開発業者の資金不足により、立地条件が良く、手ごろな中間層向け物件開発の融資案件などへの投資機会が期待できます。日本は、コア物件への投資は利回りも低く、あまり魅了的ではない一方で、海外からの移住や都心部への人口集中を背景に、主要都市における優良な開発物件や改築物件に投資妙味があるとみています。

このように、アジア地域の主要都市では中期的には継続的に住宅需要があると予想しています。投資家の皆様におかれましては、これらの投資機会を是非捉えていただきたいと思います。

 

1出所:国土交通省(日本)、Rating And Valuation Department (香港)、Singapore’s Urban Development Authority (シンガポール)、Australian Bureau of Statistics (オーストラリア)

 

ご留意事項
投資には様々なリスクが伴います。有価証券等の取引には様々なリスクと投機的な側面があり、利益を得られることがある反面、場合によっては投資した元本を割り込み、損失(元本欠損)が生じる恐れがあります。