中国人民元建て債券 ― 投資すべき理由

中国の債券市場は11.4兆米ドル に上り、世界第3位の規模を誇るものの、グローバル投資家にとって依然として相対的に未知の領域です。多くの投資家が中国市場に膨大な投資機会があると見る一方、危険区域とみなす投資家も少なからずいます。

現在、中国債券市場は難しい局面にあります。規制強化やシャドーバンキングの取り締まりといった動きは、歓迎されている一方で、民間企業の資金調達に打撃を与えています。融資の伸びは減速しており、企業は借入コストの増大により借り換えが難しくなっており、また企業のデフォルトが増加し投資家を動揺させうると考える向きもあります。しかし、我々はそうは考えていません。

規模のみにあらず

中国人民元建て債券市場は規模が大きく属性の魅力も高いことから、グローバル投資家においてはその特性を把握しておくことが賢明といえます。

すでに、Bloomberg-Barclays Global Aggregate Indexは中国の人民元建て国債と政策銀行債の採用を決定しています。トレードにおけるDVP決済の導入など、当局による改善により、2019年4月から採用される予定です。FTSE World Government Bond IndexやJP Morgan Government Bond Index-Emerging Marketなど、その他の主要指数が追随する可能性があることも、市場の期待をさらに裏付けています。

中国は世界第2位の経済大国でありながらも、市場は他国と比べて依然閉鎖的です。国内債券市場は未発達で、外国人保有比率も極めて低水準です。しかし、こうした状況は変わりつつあります。

中国は世界第2位の経済大国でありながらも、市場は他国と比べて依然閉鎖的です。国内債券市場は未発達で、外国人保有比率も極めて低水準です。しかし、こうした状況は変わりつつあります。

もう一つの好ましい属性は、対外資金調達への依存度の低さです。中国の対外債務は2017年末時点で1.68兆米ドル、対GDP比13%余1 の水準で、これはアジアおよびエマージング諸国の中でもかなり低い水準です。対GDP比政府債務比率はわずか37%程度2であり、これも他の多くの先進国市場を大きく下回っています。3.22兆米ドル 3の外貨準備や膨大な政府系ファンド資産など、中国には利用可能な資産が潤沢にあります。

経済成長は均衡を取り戻し、中間層の急増を反映して国内色を強め、経常収支は縮小しつつも数年間黒字を維持しています。

流動性の源泉

中国の政治は、一党制であることがあらゆる政策決定に影響を及ぼしています。中国の政策担当者は、政治サイクルを上回る長期的な政策を検討することができるという、羨望の立場にあるとも言えます。

中国の債券市場は、他の市場と同じく、長期開発案件向けの資金調達を行い政府や政府系機関に提供するという重要な役割を果たしています。資本市場の開放に伴い、外国人投資家による資金提供の機会が拡大しており、中国国債および準国債は、投資家にとって共に最大の投資対象となっています。

国策を執行する国営企業や国家開発プロジェクトの資金調達を行う政策銀行は、人民元建て債券投資家にとって魅力的な選択肢です。また、電力、主要な石油・ガス田、水力発電所などを運営する政府系機関も投資対象となります。信用格付けの高い企業や国際的な格付け機関から投資適格級を付与された企業も投資対象となります。

発行体の信用力や負債構造の分析は不可欠です。中国はまだコーポレート・ガバナンス、財務の透明性、投資家保護などの観点から検討すべき点が多いためです。

デフォルトは増加しています。これは、モラルハザードへの対応や、独自のクレジットリスクを評価するに当たり、極めて重要な点であり、クレジットリスクの評価に入念なアプローチが必要であることを裏付けるものです。2018年6月4日現在、人民元建て債券の12の発行体の21銘柄、計202億人民元相当 がデ4

負債構造が同じでも影響は異なる

興味深いことに、約10年間にわたり米国の債券利回りを上回ってきた中国の債券利回りは、ここへきて収斂し始めています。両国ともに、内在リスクの増大は避けたいところです。

米国は、数年にわたる大規模な金融緩和ののち、経済成長の持続的な改善を受け、インフレリスクの上昇を回避するために利上げを行っています。この利上げを受け、債券利回りは数十年来の低水準から上昇に転じています。2016年以降すでに利回りの急上昇を経験している中国は、急速な融資の伸び、周囲からの圧力や市場の暴落への対応策として、様々な金融引き締め策を講じてきました。これは、短期的な経済成長よりも、よりバランスのとれた、持続可能で質の高い経済成長を優先する政府の姿勢を示しています。経済成長の減速、インフレの安定、海外からの資本流入の回復が予想されるなど、債券市場には力強い支援材料があります。

中国の政策当局は、いずれは融資の引き締めを緩和し、金融緩和への転換を余儀なくされます。すでに、外貨準備率を引き下げたことにより、約7,000億人民元 が民間セクターへの融資に回っています。規制当局が償還債券のリファイナンス以外の目的による債券発行を認める可能性もあります。

総じて、極めて魅力の高い利回り、金利の下降基調、他市場との低い相関、通貨のボラティリティの相対的な低さを勘案すると、中国人民元建て債券は投資に値するといえます

2018年6月20日版 Hong Kong Economic Journal掲載

1“China – debt securities issues and amounts outstanding”、国際決済銀行、2017年第4四半期

2 “SAFE spokesperson’s Q&A on China’s 2017 external debt data”、中国国家外貨管理局ウェブサイト、2018年3月29日

3“International reserves and foreign currency liquidity”、中国国家外貨管理局、2018年4月30日

4“Bond refinancing risk rising for Chinese corporates”、Fitch Ratings、2018年6月

ご留意事項
投資には様々なリスクが伴います。有価証券等の取引には様々なリスクと投機的な側面があり、利益を得られることがある反面、場合によっては投資した元本を割り込み、損失(元本欠損)が生じる恐れがあります。